「多摩大学でしか学べないことを見つける」 安藤 賢治(1期生)

 「大学どこ?」と人に聞かれ、「たまだいがく」と答えると「玉川大学?」とか「多摩美術大学?」と聞き返されることが多い。昔も今も変わらない。そんなことはどうでも良い。
振り返ると、1人の学生が社会人になり周囲から教えられ、助けられてきた結果、こうしてずっと新規事業の仕事に携わることができている。不思議と記憶に残っているのは、苦境にたって苦労したときのことが多く、あまり楽しかったことは思い出せない。見方をかえると、困難を克服したことより自分自身が人間的に成長し、少し高い視座で物事を見ることができるようになったからではないか。そう思うと感慨無量である。
 自らが多摩大学4年間で学び、そして今役に立っていることについて話しをしたいと思う。「傾聴力」と「ビジョン構築力」である。

1・「傾聴力」
 先日、学生の採用面接を行った。毎年、我が社に入社を希望する学生は数千人規模であり、全国の大学や大学院、最近では海外からの学生も目立つ。結果として、色んな考えをもった人財が集まってくる。学生諸君はこれまで培ってきた知見や経験を活かし、自らの夢を我々に熱く語ってくれる。私は学生諸君がPRしてくる強み以外も発見し、そのことを評価するように心掛けている。具体的に1つ評価軸は「傾聴力」である。相手の話に恣意的な解釈をせず、耳を傾けることはとても重要なことである。企画、開発、営業・・・と様々な職種があるが、重要なスキルといえる。この「傾聴力」を持っている学生や社会人が意外と少ない。会社では、多摩大学の特色でもある少人数制の授業やゼミ活動を行う位の規模で仕事をすることが多い。

2・「ビジョン構築力」
 私は白根禮吉ゼミに所属し、教授と仲間達とJohn Naisbits やDaniel Bellの著を主に精読し、色んな角度から近い将来どんな世界になるのかを、皆で議論したものだ。ここで学んだモノの見方は、今、ビジョンの構築や短中期目標の設定する上で非常に役に立っている。私の最近の仕事は、新規事業の垂直立ち上げや移転コンサルティングといったところである。仕事柄、お客様への提供価値を最大化していくために、社内外問わず組織を編成し暫定的かつアメーバのような仕事をするケースもある。これほど環境の変化が激しい中、形のないものを文化の違う社外の人と一緒に作り上げていくのは、それなりのテクニックやビジョンやコンセプトの構築が必要である。
 常に、先を見据えクライアントやパートナー企業とゴールイメージを設定し、そのゴールに向かって全体スケジュールをみながら協働で作業を進めていく。ゼミ活動で培ったスキルである。また、モチベーションの維持にも役立つスキルだと思う。
このスキルは多摩大学の特色を活かし自然と身についたものである。きっと他大学やアルバイトだけでは培うことができなかったスキルであろう。

 多摩大学が扱う「経営情報学」は質と量そして変化スピードが早く、かつモノとして見えないものなので扱いづらいジャンルの1つであろう。こうしたジャンルに単に知識の習得だけでなく、モノの見方について学ぶことができたからではないか。
 多摩大学全体でも、卒業生が色々な業種業態に就職や転職をしていることから、質と量そして変化スピードに柔軟に対応できる人材が多いのではないか。
 学生諸君は在学中にこのスキルを身につけ、自分の強みにしてもらいたい。そして強いリーダーシップを発揮してもらいたい。

 しかし、「こんな仕事をしたい」といっても、なかなかその仕事に就くことは少ないはず。自分がしたい仕事に就くには、そのために必要な経験を積み、どんな仕事にも熱い気持ちで取り組んでいると思う。あとは、ビジネス書を読んだり、外部セミナーに行く足を運んだりする人もいるでしょう。そこでは、「論理的思考」「問題解決」「ビジョン」「モチベーション」「リーダーシップ」といったテーマのものが目立ちます。これらテーマのものは大抵、「WHAT思考」「WHY思考」といった思考法について語っていることが多い。
 しかし、こうした思考に凝り固まってしまうと、自分がしたい仕事に就けなくなった時の反動が大きくなるので注意が必要である。最近では好きな仕事ができなかった場合に自分を見失ってしまう者が多いようだ。日本経済からみれば、とても大きな損失である。また自分や家族にとっても悲劇である。
 そこで就職や転職を考えている人には次のことを提案したい。それは、入りたい会社の「企業理念」や「行動規範」などを事前に調べ、自分の価値観などと合致させることである。企業理念や行動規範は、ビジョンや経営方針・戦略と違い基本的に普遍的なものであり、そこで働く従業員は皆同じ価値観であることが多い。こうした価値観が自分と一致すれば、自分を見失うことが少なくなると期待できる。各企業においては何度も暗誦・朗誦されたであろう言葉の数々であるから、何かしら読む者の琴線に触れるフレーズが含まれているはずである。声に出して読んでもらいたい。
 因みに、私がこの会社に入社した理由は、行動規範ともいえる「経営の信条」というものに私の「価値観」と「強み」が合致したからに他ならない。尚、当社の「経営の信条」は以下のURLより参照されたし。

http://kigyou-sns.com/rinen/kokuyo.html

 同じ学び舎で、同じ20代の時期を過ごしている学生は、多摩大学でしか学べないことを見つけてはどうでしょうか?