「大学で学んだ『切り口』の活用」 川上 良太(14期生)

 在学時は、主に野田稔先生のゼミで組織論を学びました。もちろん中谷学長の自己発見や、イングリッシュシャワー、経営基礎、ベンチャー企業経営論などの多くの授業を通して、学び方、考え方、理論に触れてきました。しかし、仕事を選ぶ上でも野田先生の歩まれたキャリアには多大な影響を受けましたし、そもそも大学に入るきっかけも先生との出会いだったので、先生の下で学んだ組織論やキャリア論が、自分にとっての専攻でした。

 ”会社の経営をしたい”というような志をもって多摩大学に入った人ならば、卒業前に一度は考えるであろう事――どこかの会社に勤める身となるか否か――は、自分も2年前、就職活動を始める時期に悩みました。 結論としては、当時の自分は、何らかの専門性を早く身につけるには大企業にこそ良い環境がそろっている、という判断から「就職する」ことにしました。

 そんな自分も、社会人としてのFreshmanがもうすぐ終わります。1年経ってみて、ようやく自分が専門とする”システムコンサルティング”というフィールドについて、なんとなく概要がつかめる状況となりました。すると、今までは目の前しか見えていなかった視野が、一気に開けたのです。ここで活きてくるのが、大学時代に学んだ考え方やその切り口でした。ゼミで教わった多くの組織に関する理論は、学んだ当時もただ理解する事はできましたが、いざ現実の経営組織に入ってみると、その感じ方、とらえ方の現実感がまったく異なります。大学では、外から組織を見ていました。いや、組織というものの中身、実態すらわからないまま、「組織について考えている気」でいたのです。

 自分が属している組織がある。その中で自分が担うべきタスクや役割、そこから得られる様々な報酬、それらにどれだけの魅力を感じ、コミットすることができるか。コミットできないならば、その阻害要因は何か。解決する方法はあるのか。さらに得られたもの(報酬や能力)を使って、今後の自分のキャリアはどういう方向に積むのか。今は、これらすべてを具体的に中身まで含めて考えられます。料理するべき材料は目の前にあって、調理方法もすでに教わって知っていたことに、ようやく気がついたのです。

 多摩大学のことを紹介するときに使われる「実学が学べます」という謳い文句が、卒業して1年が経って、ようやくわかりました(笑)しかし、それがわかったのは本当にこの1ヶ月ほどのことで、2ヶ月前の自分といえば、ただ必死にもがいていただけでした。本当に、今さらながら、多摩大学で学んだ数々の「切り口」の活用方法が見えました。 野田先生、卒業時に約束していただいた、「もう一度先生の下で学ぶ」という約束を、そろそろ果たしにお伺いしようと思います。

 同期のみんな、先輩方、後輩たち、それぞれ大学で学んだことは少なくないと思います。特に会社などに勤めたり経営に関わるような仕事をしている人は、すでに役立っている人も多いとは思いますが、大学で学んだことを今一度思い出してみると、面白い発想や解決方法につながるのではないでしょうか。