「OB会は2度おいしい」 福田 友哉(4期生)

 皆さんは、大学時代に入っていたサークルの仲間たちと、その後連絡をとりあっていますか?
 私が大学に入学した当時、漫画『スラムダンク』が人気を博し、空前のバスケットボールブームでした。ご他聞にもれず、アリーナでは休み時間となると、バスケをする学生が数多くいました。バスケサークルもいくつかあり、学内の大会ともなると、それは大変な盛り上がりでした。その中で、私も週2回のサークル活動を楽しんでいました。でも、”部”ではない”サークル”は、手軽に仲間内で作れる反面、作った仲間が卒業すると同時に自然消滅し、学生時代の思い出で終わってしまいがちです。ましてや、時代のブームの中で出来たサークルなどは...

 それではあまりにも寂しいし、卒業してもたまにはバスケットがしたいという気持ちで、『多摩大学バスケットボールサークル連合OB会(名称:Turbo A)』を発足しました。当時、サークルとしては別々でも、練習は合同で行うことが多かった為、このようなかたちとなりました。正直言って、それほど深くは考えず始めたのですが、今年で発足からちょうど10年を迎えます。

 社会にでて多くの経験を積むにつれ、私の中で、このOB会の存在価値が、発足当初とはまったく違ったものに変化しました。社会に出てある程度経った方ならわかると思いますが、意外なほど狭い世界のなかで生きていかなければならないことに気付くのです。生活の大部分を会社で過ごし、同じ境遇の同僚らと愚痴を言い、嫌でも会社とういう世界にどっぷりつかるしかないのです。しかし、社会には様々な業種や職業があり、そこにはそれぞれの世界があります。 同じ会社の上司や同僚と酒を飲んで話をしても、そのいろいろな世界を覗くことは出来ません。それを覗くことが出来るきっかけがOB会にあったのです。

 確かに、巷では『異業種交流会』とかもありますが、普通のサラリーマンなどには敷居が高く、近寄りがたいのが本音だと思います。わざわざ敷居の高いところにいかなくても、OB会という絶好の場があったのです。利害関係がまったくなく、スポーツを通しての付き合いであり、本音の話ができる最高の異業種交流会です。また、いろんな世代がいることで、その世代のものの見方や考え方も感じることが出来るのです。

 こうして話をしていると、すべて順風満帆のようにOB会が運営されているように思われるかもしれませんが、やはり仕事が忙しい年代や時期があったり、また結婚や出産など人生の転機を迎えたりで、参加したくてもそれが無理な人が多いのも事実です。年に1回しか参加できない人でも、繋がりを持ち続けてもらうにはどうすれば良いか一時期悩みました。ホームページの開設も考えましたが、不特定多数の人に見られることを思うと、どうしても写真等の掲載や実名を載せることが出来ない為に実現しませんでした。その悩みを、『ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)』で、解消することが出来たのです。非公開のコミュニティを作ることによって、プライバシーも保たれた双方向のやりとりが可能になり、OB会の活動の様子はもちろん、個人の近況等も知ることが出来始めています。

 OB会は、私達が社会の中で生きていくうえで、大きな役割を果たしてくれる会になりつつあります。 社会にある自分の知らない世界を覗き、触れる場を提供してくれ、その結果、自分自身を成長させ、幅を持たせてくれる大切な会であると思っています。